Trauma

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許しとは何か?怒りや恨みを手放すためのヒント

by

Takaya Yoshinaka

2025/06/01

ファクトチェック済み

本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

誰かの言葉や行動で心が傷ついたことがある方は多いと思います。怒りや悲しみ、裏切られたと感じる気持ちは、ごく自然な反応です。

ただ、その苦しさをずっと抱え続けていると、心も体も疲れてしまうことがあります。

そんな時、「許す」という選択肢が、これからの自分を大切にする第一歩になるかもしれません。

恨みや怒りが心と体に与える影響

誰かに傷つけられた時、怒りや恨みを感じるのはごく自然なことです。ただ、その感情を長く持ち続けいると、心だけでなく体にも影響が出ることがあります。

最近の研究では、怒りや恨みが慢性的に続くと、体の炎症が高まり、疲れやすくなったり、痛みや消化不良などの体調不良を引き起こすことがわかっています。

誰かを許すのは簡単なことではありませんが、少しずつでも手放していくことで、心と体の健康を守ることにつながります。

許しを実践するためのヒント

許しはすぐにできるものではなく、少しずつ進めていくプロセスです。ここでは、日常の中で試せる方法をいくつかご紹介します。

1. 傷ついた経験を振り返る

まずは、自分がどんなことで傷ついたのか、その時どんな気持ちがあったのかを振り返ってみましょう。無理に忘れようとせず、「そう感じていたんだな」と認めてあげることが大切です。

2. 相手の立場を想像してみる

相手の行動の背景や気持ちを想像してみることも、許しの一歩になります。相手を正当化する必要はありませんが、視点を変えてみることで、自分の気持ちが少し和らぐこともあります。

3. 時間をかけて向き合う

許しは無理に急いで行うものではありません。怒りや恨みをすぐに手放すことが難しい時もあります。月日が経つことで、いつか向き合う瞬間が訪れるかもしれません。

4. 許すと決めた自分を認める

「もう許そう」と決めたら、その気持ちを大切にしましょう。ノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみるのもおすすめです。

5. 許し続けることを意識する

時には、許したはずの相手への怒りがぶり返すこともあるかもしれません。そんな時は、「私はもう許すと決めた」と、自分に優しく声をかけてあげてください。

許しと和解は別のもの

許すことと、相手と再び関係を築くことは別のものです。許しても距離を取ったままでいることもできますし、「忘れなければいけない」と無理をする必要もありません。

許せなくても、それは普通のことです

どうしても許せないと感じる時は、無理に許そうとしなくても大丈夫です。自分の気持ちを否定せず、時間をかけて向き合っていきましょう。もし一人で抱えきれない時は、カウンセラーなど専門家に相談するのも良い方法です。

Reference

  • Kim, J.J., Payne, E.S., & Lee Tracy, E. (2022). Indirect Effects of Forgiveness on Psychological Health Through Anger and Hope: A Parallel Mediation Analysis. J Relig Health, 61(5), 3729–3746. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10120569/

  • Worthington, E.L. Jr. (n.d.). REACH Forgiveness. http://www.evworthington-forgiveness.com/reach-forgiveness