Self-Discovery

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独り言って"変人"がすること? セルフ・トークがもたらす心理的メリットとは

独り言って"変人"がすること? セルフ・トークがもたらす心理的メリットとは

by

Inner Library Editorial Team

2026/02/06

ふと独り言を言っている自分に気づき、「誰かに聞かれていなかっただろうか」と周囲を気にして不安になったことはないでしょうか。しかし、こうした自分自身への語りかけは心理学で「セルフ・トーク」と呼ばれ、とても自然で一般的な行動であるとされています。

今回は、このセルフ・トークが私たちの毎日にどのような影響をくれるのかを紐解いていきます。

セルフ・トークとは?

セルフ・トークとは、その名の通り「自分自身との対話」のことです。声に出してつぶやくこともあれば、心の中だけで言葉を交わすこともあります。

心理学では、これを「自分の思考について考えること」の一部として捉えています。自分自身の状態を言葉にして確認する作業であり、誰もが無意識のうちに行っている、ごく日常的なコミュニケーションの一環です。

自分に話しかけることは、特別なことではありません。それは私たちが自分自身の内面と向き合い、対話をするための自然な手段です。

セルフ・トークの主な形

セルフ・トークにはいくつかの形があり、私たちは状況に合わせて、無意識にパターンを使い分けています。

  • 手順の確認

    「次はこれをして、その後にあれをチェックして……」と、物事をスムーズに進めるための確認です。

  • 自然なつぶやき

    綺麗なものを見て思わず「わあ」と言ったり、驚いて声が出たりするように、感情がそのまま言葉になったものです。

  • 自分への指示

    大事な場面で「大丈夫、落ち着いて」と自分に言い聞かせるように、決めた言葉を意識的に使うやり方です。

  • 心の中の対話

    声に出すかどうかにかかわらず、頭の中で自分自身と対話することも、セルフ・トークの一つです。

なぜ自分に話しかけるのか

セルフ・トークの正体は、ただのつぶやきではありません。心理学では、自分の考えを客観的に振り返るための仕組みの一部だと言われています。声を出すというステップを踏むことで、私たちは自分自身の状態を以下のように整えています。

  • 考えを整理する
    頭の中にあるバラバラな情報を、言葉にすることで扱いやすくします。

  • 行動をコントロールする
    計画を声に出して確かめることで、物事を進める力を高めます。

  • 自分を客観的に見る
    自分を一歩引いた場所から眺めることで、冷静さを取り戻しやすくします。

一度言葉として「外」に出すことで、自分の考えを落ち着いて眺められるようになります。このサイクルが、複雑な思考を整理する助けになります。

セルフ・トークがもたらす心理的メリット

セルフ・トークは、私たちの内面にもポジティブな変化をもたらしてくれます。

  • 気持ちの安定
    自分の状態を言葉にすることで不安が軽くなり、難しい場面でも落ち着きを保ちやすくなります。

  • 自分への優しさ
    「よくやってるよ」と声をかける習慣は、自分を大切にする感覚(セルフコンパッション)を育ててくれます。

  • やる気の維持
    前向きな言葉は、自分の力を信じる助けになり、物事に取り組む自信を支えてくれます。

  • 集中のキープ
    手順を口に出すことで、意識が逸れにくくなる効果があります。

注意が必要なセルフ・トーク

セルフ・トークの中には自分を傷つけてしまうような、注意が必要なパターンもあります。

  • 過度な自己批判
    「どうしてできないんだ」と責める言葉を繰り返すと、心に負担がかかり、自信を失う原因になります。

  • 悲観的なループ
    自分を疑うような否定的な言葉ばかりが続くと、心の疲れが取れにくくなってしまいます。

セルフ・トークは、あなたが自分自身と向き合い、より良く過ごそうとしている健全な試みです。まずは自分の声に耳を傾け、もし自分を責めていたら、親しい友人に接するような優しい言葉に言い換えてみてください。内なる声を少しずつ優しいものに変えていくことが、自分を大切に扱うための第一歩となります。

Reference

  • Walter, N., et al. (2019). Effects of self-talk training on competitive anxiety, self-efficacy, volitional skills, and performance. Sports.