by
Inner Library Editorial Team
2026/01/03
私たちは日々、弱さを見せないように振る舞う場面が多くあります。自分の思い通りにならない感情や、先が見えない状況で感じる「脆さ(Vulnerability)」を、隠すべき欠点のように感じるのは自然なことです。しかし、この脆さを遠ざけることは、自分の本音や他者との繋がりを遮断することにも繋がります。この記事では、脆さを克服すべき課題ではなく、人が本来持っている反応の一つとして整理していきます。
私たちは日々、弱さを見せないように振る舞う場面が多くあります。自分の思い通りにならない感情や、先が見えない状況で感じる「脆さ(Vulnerability)」を、隠すべき欠点のように感じるのは自然なことです。しかし、この脆さを遠ざけることは、自分の本音や他者との繋がりを遮断することにも繋がります。この記事では、脆さを克服すべき課題ではなく、人が本来持っている反応の一つとして整理していきます。
脆さとは自然なサイン
脆さとは、結果が予測できない状況で勇気を出したり、自分の素直な気持ちをさらけ出したりする際に生じる反応です。それは何かが欠けている証拠ではなく、むしろ周囲の変化に対して心が正常に機能しているサインといえます。この感覚を無視しようとすればするほど、私たちは自分自身の本当の願いや違和感からも遠ざかってしまいます。自分の中にある揺らぎを、まずは「そこにあるもの」として認めることが大切です。
脆さとは?
脆さは、私たちが誠実に生きようとする時に必ず現れる現象です。具体的には、日常のふとした瞬間に次のような形で顔を出します。
恥
周囲と比較して自分が劣っていると感じ、今の未完成な状態を隠したくなる感覚。不安
本音を伝えた結果、相手に拒絶されたり関係が壊れたりすることへの恐怖。失望
理想の自分になれないことや、期待に応えられない自分を他人に見られることへの抵抗。焦り
自分の努力だけではコントロールできない物事に対し、無力さを感じる際のざわつき。
こうした反応は、あなたが何か「間違っている」からではありません。自分を取り巻く状況や他者に対して、ごまかさずに向き合おうとしているからこそ生じる「誠実さの裏返し」でもあります。
脆さを捉え直す
脆さがあることは、単に「弱い」ことではありません。むしろ、不確実な状況において自分をごまかさず、誠実であろうとしている証拠といえます。自分の欠けた部分や揺らぎを認めることは、自分自身への嘘を減らし、内面的な納得感を保つ助けになります。また、自分の脆さを自覚している人は、他者が抱える痛みに対しても想像力を働かせることができ、それが深い信頼関係を築くための土台となることがあります。
脆さと向き合う
自分の中にある脆さと向き合うために、以下のようなこ
心の反応を事実として把握する
「恥ずかしい」「怖い」と感じたとき、それを良い悪いと判断せず、ただ事実として受け止めます。自分の限界を認める
すべてのことを一人で完結できないと認めることは、自分を適切に扱うための第一歩となります。他者との境界線を整理する
どこまでを自分が引き受け、どこからを相手に委ねるのかを明確にし、適切な距離感を保ちます。他者の痛みとの共通点を探す
他人もまた言えない脆さを抱えているという事実に目を向けると、周囲への過度な緊張が和らぎます。
これらの整理は、自分を無理に変えるための手段ではありません。今この瞬間に起きている心の摩擦を認め、不快感とともに居る自分を許していくためのプロセスです。
脆いままの自分を許す
もし今、自分自身の脆さに触れて、言いようのないざわつきやためらいを感じているとしても、その感覚を無理に排除する必要はありません。強くなければならないという思い込みを一度脇に置き、未完成で不確かな状態のままの自分をただ認めてあげてください。
脆さを抱えたまま生きることは、停滞ではなく、自分に対してどこまでも正直であるという勇敢な選択でもあります。
Reference
Brown, B. (2012). Daring Greatly: How the Courage to Be Vulnerable Transforms the Way We Live, Love, Parent, and Lead. New York, NY: Gotham Books.
Rogers, C. R. (1961). On Becoming a Person: A Therapist's View of Psychotherapy. Boston: Houghton Mifflin.
Leary, M. R. (2015). Emotional Responses to Interpersonal Rejection. In Handbook of Emotions (4th ed.). New York, NY: Guilford Press.



