Self-Discovery

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なぜ私たちは「自分を責めてしまう」のか?自責思考の背景と対処法

by

Takaya Yoshinaka

6/20/25

ファクトチェック済み

本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

「また自分のせいだ」と感じてしまう瞬間は、誰にでもあるものです。なぜ私たちは自分を責めてしまうのでしょうか?

この記事では、心理学の研究をもとに、自責思考の仕組みと、心をいたわるための具体的な方法をご紹介します。

どうして自分を責めてしまうの?

困難な状況に直面すると、多くの人は「自分に原因があるのでは」と考えがちです。これは、自分を守るための自然な心の働きともいわれています。しかし、原因探しが行き過ぎると、必要以上に自分を責めてしまうことにつながります。

最新の研究では、自責思考が自己否定や心の健康に影響を及ぼすことが示されています。とくに感情をコントロールできないと感じるとき、人は自分を責めることで複雑な気持ちを整理しようとする傾向があります。

自責思考のサインに気づく

自分を責める気持ちは、心や行動にさまざまな形で現れます。

たとえば、「私が悪い」と繰り返し考える、自分の感情を否定する、完璧でない自分を許せない。こうした感情面でのサインがあります。行動面では、必要以上に仕事を抱え込む、休息を自分に許さない、他人の助けを遠慮してしまうことも。

これらの反応は一見「真面目」や「努力家」と評価されることがありますが、背景には自分への厳しさや罰の意識が隠れている場合もあります。

自責思考と向き合うための5つのヒント

1. まずは自分の気持ちに気づく

「また自分を責めている」と思ったとき、その気持ちにそっと目を向けてみましょう。自責の気持ちは、成長したいという健全な願いの裏返しであることも多いです。否定せずに観察することで、新たな気づきが生まれることがあります。

2. 専門家に相談してみる

もし根深い自己否定がある場合は、心理の専門家と話してみるのも一つの方法です。自己イメージは、過去の経験や環境の影響を受けて形づくられます。専門家との対話を通して、新しい視点を得たり、自分を受け入れる力を育んだりできます。

3. 感情との距離をとる練習をする

感情を完全にコントロールすることはできませんが、呼吸や身体感覚に意識を向けることで、少しずつ心との距離のとり方を学べます。自分の思考や感情を「ただ観察する」ことから始めてみましょう。

4. 信頼できる人に話してみる

つらい時は、一人で抱え込まず、信頼できる人に気持ちを話してみてください。完璧である必要はありません。話すことで、新しい視点や安心感が得られることもあります。

5. 自分へのやさしさを意識する

自分を責めるのは、「もっと良くなりたい」という気持ちの表れかもしれません。しかし本当に必要なのは、自分にやさしくすることです。失敗や弱さも人生の一部と受け入れ、少しずつ自分を認めていきましょう。

自分らしいペースで向き合って

自責の気持ちは誰にでもあるものです。大切なのは、その感情に気づき、無理のないペースで自分と向き合うこと。変化を急ぐ必要はありません。自分らしい方法で、少しずつ心を軽くしていきませんか。

Reference

  • Laporte, N., et al. (2021). Emotion regulation and self-harm among forensic psychiatric patients. Frontiers in Psychology, 12, 710751. Stanicke, L.I. (2021).

  • The punished self, the unknown self, and the harmed self – toward a more nuanced understanding of self-harm among adolescent girls. Frontiers in Psychology, 12, 543303.