Sex & Love

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HIVについて知っておきたいこと|不安を和らげるための基本的な知識

by

Takaya Yoshinaka

7/28/25

ファクトチェック済み

本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

HIVに関する情報は、誤解や偏見によって不安を大きくしてしまうことがあります。

この記事では、最新の科学的知見をもとに、HIVについて正しく理解するための基本をお伝えします。あなたの疑問や不安が少しでも軽くなるよう、丁寧に解説していきます。

HIVとは?今知っておきたい「本当の基本」

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、体の免疫システムを徐々に弱めるウイルスです。感染すると、体が病気と闘う力が低下しますが、現代の医療では早期発見と治療によって、健康的な生活を続けることが可能です。

HIVとエイズの違いを正しく知る

HIVはウイルス名、エイズはHIV感染が進行した状態(後天性免疫不全症候群)です。治療を続ければ、エイズに進行せず健康を保つことができます。診断は人生の終わりではありません。

感染経路と「感染しない場面」を知ることが安心につながる

HIVは特定の体液(血液、精液、膣分泌液、直腸分泌液、母乳)を通じてのみ感染します。日常生活での接触では感染しません。握手やハグ、キス、食器の共有、プールや温泉、虫刺されなどで感染することはありません。正しい知識が、無用な恐れや偏見を減らします。

最新の知見「U=U」とは?

「U=U(Undetectable = Untransmittable)」は、適切な治療でウイルス量が検出限界以下になれば、他者への感染リスクがなくなるという考え方です。これは世界的に認められており、HIV陽性者とそのパートナーに大きな安心と希望をもたらしています。

実践できる予防と検査のポイント

コンドームを使う

コンドームは基本的で効果的な予防法です。HIVだけでなく、他の性感染症の予防にも役立ちます。ただ、使い方が正しくないと効果が低下するので、正しい使用方法を知っておきましょう。

PrEP(予防薬)を検討する

PrEPはHIV感染リスクを大幅に減らす予防薬です。正しく服用すれば、性行為によるHIV感染リスクを約99%も減らせることが研究で示されています。

PEP(緊急予防薬)を知っておく

万が一曝露した場合は、72時間以内にPEPを開始することが推奨されます。時間が経つほど効果が下がるので、心配な出来事があったらすぐに医療機関に相談することが大切です。

定期的な検査を習慣にする

定期検査は早期発見・早期治療につながります。特に性的活動が多い方は、定期的にHIV検査を受けることをお勧めします。早期発見が早期治療につながり、自分の健康を守るだけでなく、知らないうちに他者に感染させるリスクも防げます。

HIVとともに生きるために

現代ではHIVは「死に至る病」ではなく、長く付き合っていく健康状態として、適切に管理できるものへと変わりました。早期発見・早期治療によって、HIVと共に健やかに生活することができ、さらに治療が成功すれば大切なパートナーに感染させる心配もなくなります。

大切なのは、根拠のない恐れに振り回されるのではなく、科学的な事実に基づいて正しく理解すること。そして必要に応じて検査を受け、自分に合った予防法を選ぶことです。

Reference

  • 厚生労働省 エイズ動向委員会 (2023)『令和5年度エイズ発生動向年報』