「完了不安」を知っていますか?仕事や課題が最後まで終われない理由
by
Takaya Yoshinaka
7/28/25
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ファクトチェック済み
本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。
締め切りが迫っているのに、なぜか最後の一歩が踏み出せない。そんな悩みは、多くの人が経験するものです。この記事では、「完了不安」という心理的な現象に焦点を当て、なぜ終わりに近づくほど手が止まるのかを解き明かします。あなたの仕事や課題が前に進むヒントを探してみましょう。
なぜ私たちは「終える」ことに不安を感じるのか
完了不安を感じるとき、心の中ではさまざまな感情が入り混じっています。締め切りが近づいているのに、なぜか最後の一歩が踏み出せない。それは単なる「先延ばし」ではなく、もっと深い心理的な要素が関わっている可能性があります。
研究によると、完了不安の背景には主に次のような心の動きがあることが示されています。
評価への不安|完璧を求めることのジレンマ
より良いものを作りたいという思いが強いほど、逆に最後の仕上げで手が止まってしまうことがあります。これは、完璧主義傾向のある人によく見られる現象です。完璧を目指す姿勢は高い成果につながる一方で、「これで十分なのか?」という不安が強まると、前に進む力を失ってしまうことがあります。
「終わり」がもたらす不確実性への向き合い方
タスクの完了は、新しい段階への移行を意味します。その先には、評価や次の課題といった不確実な要素が待っています。心理学の研究では、「次に何が起こるかわからない」という不確実性が、私たちの不安を大きく高める要因になることが示されています。
完了不安と向き合う3つのヒント
1. 「今の自分にとって十分か?」と問い直す
成果物の完璧さよりも、現時点で求められる要件を満たしているかを意識しましょう。「これ以上の修正は本当に必要か?」と自分に問いかけることで、過度な不安から距離を取ることができます。十分さを自分なりに定義することで、前に進む力が生まれます。
2. 大きな課題は小さく分けて達成感を積み重ねる
課題を細かく分割し、それぞれに小さなゴールを設定しましょう。ひとつずつ「終わり」を体験することで、達成感が積み重なり、不安が和らいでいきます。小さな成功は、次のステップへの自信につながります。
3. 完了は「終わり」ではなく「新しい始まり」と捉える
タスクの完了は、次の成長やチャレンジのスタートでもあります。評価を受けることで新しい気づきや学びが得られることもあります。終わりを恐れるのではなく、新しい可能性への一歩として受け止めてみましょう。
完了不安を味方に変えるために
完了不安は、より良いものを求めるあなたの意欲の証です。大切なのは、この不安を否定せず、上手に付き合いながら一歩ずつ前進すること。あなた自身の「十分さ」を見つけて、次のステージへ進む準備をしてみませんか?
Reference
Ferrari, J. (2010). Psychology of procrastination: Why people put off important tasks until the last minute. American Psychological Association.
Henriksen, I., et al. (2017). The role of self-esteem in the development of psychiatric problems: A three-year prospective study in a clinical sample of adolescents. Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health.