by
Inner Library Editorial Team
2025/06/08
トラウマは、誰にでも起こり得る心の深い傷です。自分だけが「おかしい」のではないかと思うこともあるかもしれませんが、そう感じるのは自然な反応です。
この記事では、トラウマという言葉の本当の意味を理解し、回復に向けた一歩を探るヒントをお伝えします。
トラウマは、誰にでも起こり得る心の深い傷です。自分だけが「おかしい」のではないかと思うこともあるかもしれませんが、そう感じるのは自然な反応です。
この記事では、トラウマという言葉の本当の意味を理解し、回復に向けた一歩を探るヒントをお伝えします。
トラウマとは?心と体に残る「深い傷」
トラウマとは、圧倒的な体験や強いストレスによって、心や体の防衛システムが過剰に反応し、その後も長く影響を及ぼす状態を指します。
この「深い傷」は、重大な事故や災害だけでなく、誰にとっても受け止めきれない経験でも生じることがあります。たとえば、身近な人との別れや幼少期のつらい出来事などです。心の傷は、時に記憶や感情、身体の感覚にまで影響を与え、私たちの日常や人とのつながりを変えてしまうこともあります。
どんな体験が「トラウマ」になるのか
「自分だけが弱いのでは?」と思うかもしれませんが、そう感じるのは自然な反応です。トラウマは、経験した人にとって受け止めきれないほどの出来事がきっかけとなります。ヴァン・デア・コーク博士は、「トラウマは心と体が自己を守ろうとする自然な反応」と語っています。つらい体験が過去のものとして整理できず、まるで時間が止まったように感じることもあります。
具体的には、次のような体験がトラウマにつながることがあります
事故や災害など、命の危険を感じる出来事
大切な人との突然の別れや死
幼少期の虐待や家庭内での暴力
学校や職場でのいじめやハラスメント
性的暴力や身体的暴力
家庭の機能不全やネグレクト
予期せぬ病気や重大な診断
こうした体験は、誰にとっても深い傷となり得ます。「これくらいで…」と自分の感覚を否定せず、どんな出来事であっても自分が苦しいと感じたなら、それは十分に大切なことです。
心と体が語りかけるサインに気づく
記憶や感覚が突然蘇ることがあります。夜に怖い夢を見る、何気ない瞬間に心臓が高鳴る、日常の楽しみが感じられなくなる。また、頭痛や胸の締め付け、眠りの質の変化など、身体にもさまざまなサインが現れることがあります。
こうした変化は、無理に消そうとしなくても大丈夫です。なぜなら、トラウマによる心や体の反応は、私たち自身を守ろうとする自然な働きだからです。無理に抑え込もうとすると、かえって苦しさが増すこともあります。まずは「今の自分」にやさしく寄り添うことが、回復への一歩につながります。
回復への一歩は「理解」から始まる
これらの反応を知り、「自分だけがつらいのではない」と感じることが、回復の第一歩です。安心できる場所や信頼できる人と過ごすこと、自分のペースを大切にすることも、心の負担を少しずつ軽くしてくれます。専門家のサポートを受けることも、決して恥ずかしいことではありません。
自分の感じ方を否定しないで
トラウマからの回復には時間がかかります。良い日もあれば、苦しい日もあるでしょう。それはごく自然なことです。大切なのは、自分の感覚や気持ちを「間違っている」と思わないこと。そして、必要なときには誰かに頼ることをためらわないでください。
これからの自分に向けて
「今」の自分に優しく寄り添うことは、未来の自分を大切にすることにもつながります。焦らず、比べず、自分の歩幅で過ごしていくことが、少しずつ心の回復につながっていきます。
Reference
Van der Kolk, B. (2014). The Body Keeps the Score: Brain, Mind, and Body in the Healing of Trauma. Viking.
Herman, J. L. (2015). Trauma and Recovery: The Aftermath of Violence--From Domestic Abuse to Political Terror. Basic Books.
安克昌 (2023).『トラウマの理解と回復への道のり:心理臨床の現場から』誠信書房.




