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「燃え尽き症候群」の兆候は?心を守るための7つの対処法
仕事で集中できない、睡眠が変わった、出社が憂鬱と感じていませんか?これは「燃え尽き症候群」のサインかもしれません。心と体の健康を守るために、私たちはどのようにすれば良いでしょうか?
by
Takaya Yoshinaka
3/11/25
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燃え尽きる前に、体と心からのSOSに気づきましょう
誰にでも、仕事に行くのが憂鬱になる時があります。朝、目覚ましの音を聞いた瞬間に「今日も仕事か」とため息が出てしまったり、以前は楽しんでいた仕事にやる気が起きなくなったり、いつも疲れを感じている自分に気づいたり...。
こうした状態が続くとき、それは単なる疲れではなく「燃え尽き症候群(バーンアウト)」のサインかもしれません。バーンアウトは長期的なストレスによって心と体が消耗する状態です。この状態は特別なものではなく、多くの人が経験する自然な反応でもあります。
この記事では、バーンアウトの兆候を理解し、心と体の健康を守るための具体的な対処法をお伝えします。自分のペースを取り戻し、仕事と生活のバランスを見直すきっかけになれば幸いです。
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは何か
バーンアウトは、簡単に言えば「疲れ果てた状態」です。長く続く強いストレスによって引き起こされ、気持ち、考え方、体の状態にまで影響します。
無理な仕事量や長時間労働が続くと、バーンアウトになりやすくなります。この状態は、仕事だけでなく日常生活にも大きく影響することがあります。
あなたは大丈夫?バーンアウトの兆候
バーンアウトには、いくつかの特徴的な兆候があります。次のような状態が続いているようであれば、バーンアウトの可能性を考えてみるといいかもしれません。
仕事に対して疑いや否定的な気持ち、批判的な見方が強くなる
出勤や時間の管理、仕事の効率に問題が出てくる
物忘れが増えたり、集中力が下がったりする
同僚や顧客に対してイライラしたり、短気になったりする
無関心、疲れ、希望が持てない気持ちになる
人との付き合いを避けるようになる
頭痛や体の痛みなどの体の不調が現れる
眠れなくなったり、睡眠の仕方が変わったりする
食欲が変わる
お酒や薬に頼るようになる
体調の変化は様々な原因で起こりますので、心配なことがあれば、まずは医師に相談してみることをおすすめします。
バーンアウトの原因
バーンアウトは、長く続くストレスと心や体の健康を損なう要因が重なることで起こります。
職場でのストレスには主に次のような原因があります。責任が重すぎる仕事や、批判される環境、自分で決められる範囲が狭いこと、長時間労働、仕事量の多さなどです。
また、職場の雰囲気が悪い、人手不足、休暇が取りにくいといった環境も影響します。さらに、仕事で忙しくて家族や友人と過ごす時間、十分な睡眠、趣味の時間が取れないと、バーンアウトのリスクが高まります。
バーンアウトからの回復法
バーンアウトは一時的なものです。ストレスを減らし、元気とやる気を取り戻す方法はたくさんあります。
1. 心の休息日を取る
出勤することは大切ですが、必要な時に休みを取らないことはバーンアウトにつながることがあります。
バーンアウトの症状が出てきたら、それは休息が必要なサインかもしれません。体の不調のために休むか、心を休めるために一日休暇を取るのも良い選択です。
2. 睡眠を大切にする
規則正しい質の良い睡眠は、心と体の健康にとって非常に大切です。睡眠の乱れはバーンアウトにつながる可能性があります。
アメリカ国立心肺血液研究所によれば、十分な睡眠がとれないと心の健康への影響やうっかりミス、長期的な健康問題につながる可能性があります。
家の土台がしっかりしていないと家全体が不安定になるように、睡眠はあなたの健康の基盤です。
睡眠を良くするには、決まった時間に寝起きし、寝る前の環境を整えることが大切です。
これは残業や追加の仕事を断ることもあるかもしれません。あるいは、もっと寝る時間を確保するために自分の時間の使い方を見直すことも考えられます。
3. スマホやPCから離れる時間を作る
寝る前の30分から60分はスマホやパソコンの画面を見ないことが良い睡眠につながります。また、デジタル機器から離れることは他の面でも役立ちます。
仕事とプライベートの時間に境目を作ることで、バーンアウトから回復する機会が得られます。
仕事で必要でない限り、連絡を受ける時間を制限することができます。
仕事関連のアプリやサイトからログアウトする
スマホの通知をオフにする
仕事のメールをチェックする誘惑に負けない
連絡が取れない時間帯を同僚に伝える
スマホやパソコンの使用を減らすことで、ストレスの原因になり得るSNSを見る時間も減らせます。
2020年の研究では、SNSの使用と仕事のバーンアウトには関連があることが分かっています。この研究では、SNSで他人と自分を比べることがバーンアウトの一因になると指摘されています。
4. 定期的に体を動かす
運動は心の健康に多くの良い影響を与えます。
幸せを感じさせる脳内物質の分泌が増えたり、脳の血流が良くなったり、人との交流が増えたりします。
また、自分への自信が高まり、マイナス思考から気をそらせ、ストレスホルモンのレベルが下がるなどの効果もあります。
バーンアウトで疲れを感じていると、体を動かす気が起きないかもしれませんが、運動することで気分が良くなる可能性があります。
5. 自然と触れ合う
2022年の研究によれば、自然に触れることはストレスを減らすことができるとされています。
室内の植物の世話をするだけでも、神経系を安定させ、体をリラックスさせる効果があります。
職場に緑や木などの自然を取り入れられない場合は、仕事以外の時間に自然の中で過ごすことを試してみてください。
6. 精神科医やカウンセラーに相談する
うつ病とバーンアウトは症状が似ていることがあります。精神科医やカウンセラーなどの専門家は、あなたの状態を理解し、適切な対応方法を見つける手助けをしてくれます。
あなたが経験していることの原因を知ることが大切です。うつ病もバーンアウトも対処できますが、正確に状態を把握することが役立ちます。
7. 仕事を変えてみる
時には、自分の強みや性格に合わない仕事がバーンアウトの原因になることもあります。
例えば、人と話すのが苦手な人が営業職に就いている場合、常にストレスを感じるかもしれません。自分に合った仕事を見つけることが、バーンアウトから回復するために必要なことかもしれません。
自分らしい働き方を取り戻すために
仕事で疲れ切ってやる気が出ないと感じているなら、それはバーンアウトのサインかもしれません。
バーンアウトは長期間の強いストレスによって起こります。仕事量が多すぎる、職場の雰囲気が悪い、安全に働ける環境でないなど、様々な要因がストレスを引き起こします。
休みを取る、睡眠を大切にするなどの自己ケア、専門家に相談するといった方法で、バーンアウトから回復することができます。
大切なのは、バーンアウトのサインに早く気づき、対処を始めることです。自分に優しく、必要な休息を取ることで、バーンアウトからの回復への第一歩を踏み出せるでしょう。
Han, R., et al. (2020). The impact of social media use on job burnout: The role of social comparison. Frontiers in Public Health, 8, 588097.
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