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ADHDの人が職場で集中するには?日常に取り入れられる6つのヒント

集中が途切れる。期限を守るのが難しい。ADHDの特性は職場でさまざまな課題をもたらします。日常生活に無理なく取り入れられる工夫で、自分らしく仕事をするにはどうしたらいいのでしょうか?

by

Takaya Yoshinaka

3/16/25

ファクトチェック済み

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本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

特性を受け入れながら、集中力を高める

集中できない日や、タスクを先延ばしにしてしまう時は誰にでもあります。期限までに仕事を終えられるか不安になったり。会議中に思考が飛んでしまったり。こうした経験は決して珍しいものではありません。

特にADHD(注意欠如・多動症)の特性がある場合、こうした課題は日常的な悩みになることがあります。ADHDは注意力や集中力、記憶に影響を与える特性です。成人の約2.5%が経験しているとされています。しかし、こうした特性があっても、適切な対処法を身につければ、効率的に仕事をすることが可能です。

この記事では、ADHDの特性と共に職場で集中力を高め、自分らしく仕事をするための実践的な方法を紹介します。

ADHDの特性と職場での影響

ADHDには大きく分けて3つのタイプがあります。「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」です。

不注意の特性は職場で様々な形で現れます。メールの見落とし、会議での重要なポイントを聞き逃す、複数のタスクの管理が難しい、締め切りを忘れてしまうなどです。

多動性・衝動性の特性は、長時間デスクに座っていることの難しさ、会議中に落ち着かない、考えをまとめる前に発言してしまう、順番を待てないなどの形で表れることがあります。

混合型は上記の両方の特性を併せ持つタイプで、状況によって異なる特性が現れることがあります。たとえば、デスクワーク中は集中力が途切れやすく、会議では衝動的に発言してしまうといった具合です。

オフィスの静かな環境や、長時間同じ姿勢でのデスクワーク、締め切りの多い業務などは、ADHDの特性がある人にとって特に大変です。でも、工夫次第でこうした難しさを乗り越えて、ADHDならではの強みを活かすことができます。

職場での集中力を高める5つのヒント

1. 日課を決めて、決まった習慣を作る

ADHDの特性があると、時間通りに職場に到着したり、締め切りを守ったりするのが難しいことがあります。気が散りやすく、タスクに集中して完了させるのが大変だからです。

毎日の生活に決まった形を作ると、効率が上がり、自分でコントロールしている感覚を取り戻せます。

ある研究では、朝の決まった習慣を持つことが効率アップの重要な要素だとわかりました。毎日同じ時間に同じことをすると、タスクの完了や先延ばしの防止に役立ちます。

職場では、カレンダーにメールの返信や在庫確認などの予定を入れて、毎日決まった時間に特定の作業をするといいでしょう。

2. ペンと紙を活用する

最近の研究では、デジタルツールを使うよりも、実際に紙に書き留める方が脳の活動が増え、後で情報を思い出す能力が高まることがわかりました。

また、リストから項目に完了印をつけると、ドーパミンが出てモチベーションにつながります。

ノートを手元に置いて、やるべきことリストや、後で完了する必要がある重要なタスクをメモしてみましょう。

3. 集中できる空間を作る

可能であれば、集中できる自分だけの空間を作りましょう。ADHDのある多くの人は、静かで整理された環境だと仕事がはかどると感じています。

以下の方法を参考にしてみてください。

  • 机の上をすっきりさせる

  • ノイズキャンセリングヘッドホンで落ち着く音楽を聴く

  • 「集中時間」を設け、その間は同僚に邪魔しないよう頼む

  • 気が散る周りのものを減らす

  • 勤務時間中はスマホの通知をオフにする

4. ご褒美を自分に与える

小さなタスクを終えるごとに自分をほめると、やる気が続きます。大事なのは、課題を終えてからご褒美を与えることです。

以下のようなご褒美を取ってみてはいかがでしょうか。

  • 短い休憩をとる

  • ストレッチをする

  • 周りを歩く

  • お気に入りの飲み物を飲む

  • 公園でランチをとる

ご褒美の仕組みを取り入れることで、やる気が続き、結果として仕事の効率も上がります。短い休憩を意識的に取り入れることで、ストレスも減らせるでしょう。

5. 専門家のサポートを受ける

時には、職場での困りごとに対して専門家の助けを借りることも大切です。カウンセラーやコーチングの専門家は、あなたに合った集中力アップの方法を一緒に考えてくれます。

専門家のサポートを受けることで、自分では気づかなかった対処法を学んだり、自分の強みを再発見したりすることができます。こうした支援は、職場での集中力アップにもつながります。

自分のやり方を見つけよう

大切なのは、自分の特性を受け入れ、小さな工夫から始めることです。そして、うまくいかなくても自分を責めないことです。

いろいろな方法を試しながら、自分に合ったやり方を見つけていきましょう。ADHDの特性は、適切な対処法を身につければ、むしろ創造性や柔軟な問題解決力といった強みにつながることもあります。

自分らしさを大切にしながら、職場でも自分の可能性を最大限に発揮していきましょう。

References

References

  • Kreider, C., et al. (2019). "Strategies for coping with time-related and productivity challenges of young people with learning disabilities and attention-deficit/hyperactivity disorder." Children, 6(2), 28.

  • Umejima, K., et al. (2021). "Paper notebooks vs. mobile devices: Brain activation differences during memory retrieval." Frontiers in Behavioral Neuroscience, 15, 634158.

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