Self-Discovery

鬱の時どうやって仕事に向き合えばいい?生産性を保つための8つのヒント

仕事中にうつ症状と向き合うことは大変なことです。集中できない、やる気が出ない、疲れやすいといった症状があっても働き続けなければならない時、どうすれば良いのでしょうか?

by

Takaya Yoshinaka

4/9/25

ファクトチェック済み

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本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

小さな工夫から、うつと共存する

誰にでも、朝起きてから「今日は仕事に行きたくない」と感じる日があります。特にうつ症状がある時は、体も心も重く、日常の仕事がとても大変に思えます。職場に着いた後も、やる気を保ちながら仕事を続けるのは本当に難しいものです。

しかし、うつ症状があっても、仕事の生産性を完全に失うわけではありません。気持ちが重い日でも、自分のペースで一歩ずつ進む方法があります。この記事では、うつ症状と付き合いながら職場で自分らしく働き続けるためのヒントをご紹介します。

職場でうつ症状と向き合うことが難しい理由

日本では、およそ6人に1人がうつ病を経験するといわれています。今この文章を読んでいるあなたは一人ではありません。多くの人がうつ症状と仕事の両立に悩んでいるのです。

うつ症状には様々なものがありますが、特に仕事に影響するのは集中力の低下や決断力の衰え、疲労感の増加、イライラしやすくなることなどです。

うつ症状があると、日常のあらゆることが難しく感じられます。特にストレスに対する耐性が弱くなるため、職場での小さな問題が大きな障害に思えてしまうことがあります。

普段なら簡単にこなせる仕事も、うつ症状があると非常に困難に感じられます。これはうつが脳の働きに影響し、記憶力や問題解決能力を低下させるからです。

また、うつ症状はやる気も奪います。何かを始めること自体が難しくなり、日常生活全体が重荷に感じられるようになります。シャワーを浴びることや歯を磨くことさえ大変に思える時期もあるでしょう。

うつ症状は自分で選んだものではありません。周りの人は「どうしてそんなに重く考えるのか?」と理解できないかもしれません。でも、無理に笑顔を作って大丈夫なふりをする必要はありません。うつ症状に配慮しながら、仕事の生産性を保つための方法を見ていきましょう。

1. 自分の環境を整える

仕事の1日すべてを自分の思い通りにすることはできなくても、自分の作業スペースは工夫できます。

シンプルで清潔な環境を保つことが大切です。物が散らかっていると、それだけで思考も乱れやすくなります。

研究によれば、物理的な職場環境は健康状態や仕事のパフォーマンスに直接影響することが示されています。整理整頓に加えて、気分を上げるための写真や植物、柔らかい照明などを取り入れると良いでしょう。

自分の席は落ち着ける空間になっていますか?可能であれば、少しでも心地よく感じられるような小さな変化を加えてみてください。

2. 休憩時間をセルフケアの時間に

仕事の休憩時間に、頭の中でネガティブな思考が巡り始めることがあります。そんな時は、セルフケアの時間にしてみましょう。

職場でのセルフケアはシンプルなもので構いません。外を少し歩いてみる、顔を冷たい水で洗う、お気に入りのお茶を入れる。こうした小さな行動が効果的です。

このようなセルフケアは、次の仕事の時間を乗り切るための小さなリラックス感をもたらしてくれます。心が特に重い日には、ほんの5分の自分時間が、その後の数時間を支える力になります。

3. 集中力を高める小さな運動を取り入れる

集中力を保つための小さな運動を取り入れると、事前に思考をスッキリさせることができるかもしれません。

集中力を高める方法としては、深呼吸をする、前向きな言葉を心の中で繰り返す、5分ほど少し歩いてみる、などがあります。

特におすすめなのは「グラウンディング法」と呼ばれる簡単な方法です。これは今この瞬間に意識を戻す技術で、うつ症状による考え込みから抜け出すのに役立ちます。

やり方は簡単です。まず、周りに見える5つのものを意識します(机、窓、本など)。次に聞こえる4つの音に注目します(エアコンの音、人の声など)。そして触れられる3つのもの(椅子、床など)を感じ、最後に嗅ぎと味の感覚に意識を向けます。これを実践すると、今この瞬間に意識が戻り、不安な思考から離れることができます。

4. 職場での食事に気を配る

職場では軽めの食事を心がけると良いでしょう。重い食事は脳の働きを鈍らせてしまいます。

糖分や炭水化物が多い食事を取ると眠くなることがあります。これは科学的な理由があり、これらの食品はトリプトファンという睡眠を促すアミノ酸の生成を促します。また、糖分は脳を覚醒させる物質を抑えることも分かっています。

昼食で炭水化物と糖分をたくさん摂ると、うつ症状による元々のエネルギー不足がさらに悪化してしまいます。

昼食には、タンパク質と野菜をバランスよく含んだ軽めの食事を選びましょう。そうすれば午後の仕事のパフォーマンスを維持しやすくなります。

5. 仕事とプライベートを区別する

うつ症状があると、様々な問題が同時に襲ってきて、圧倒させることがあります。この圧倒感を軽減するには、仕事と個人の問題を分けて考えることが大切です。それぞれが混ざってしまった時、問題がより大きく感じられることが多くあります。

個人的な心配事を仕事中に考えていると、集中力が散漫になります。特に家庭環境や家族関係がうつや不安の原因になっている場合は、その感情を仕事に持ち込みがちです。

個人的な悩みにとらわれていると、仕事への意欲が自然と低下してしまいます。

6. 職場の健康相談窓口を利用する

すべての職場にメンタルヘルスの専門家がいるわけではありませんが、もし職場に相談窓口があれば、うつ症状について話し合うことが役立つでしょう。

職場に直接の相談窓口がない場合でも、会社が提供するメンタルヘルス支援制度を確認してみてください。最近は日本の企業でも、メンタルヘルスに関する相談窓口が増えてきています。

7. 仕事を溜めないようにする

仕事が溜まってしまうと、それだけでストレスが増えてしまいます。特に締め切りが近い仕事や遅れている仕事があると、精神的な負担が大きくなります。

うつ症状があると、ストレスを感じる場面で問題に向き合うより、避けたくなってしまいがちです。

仕事を溜めないコツは、小さく分けて取り組むことです。メールはできるだけ来たらすぐに返す、大きなプロジェクトは小さな部分に分けて一つずつ終わらせるなどの工夫が効果的です。こうすることで仕事の山積みを防ぎ、小さな達成感を積み重ねることができます。

気分が特に落ち込んでいる時こそ、小さな成功体験が大切です。「今日はこの3つだけ」という具体的な目標を設定し、それを達成できたら自分を褒めてあげましょう。

8. 自分の仕事環境を見直す

うつ症状があると、どんな小さな変化でも大変に感じられます。そんな時に転職やキャリアチェンジを考えるのは難しいかもしれません。しかし、特に職場でうつ症状が強くなるなら、自分の環境を見直す時期かもしれません。

職場でのいじめ、サポートがない環境、自分の努力が認められない状況は、誰の心も疲れさせます。職場の良い面より悪い面の方が多いなら、新しい環境を探すことも大切な選択です。

時には、心身に悪影響を与える環境から離れることが最善の解決策となります。仕事が健康を脅かすようであれば、変化を考えてみる価値があります。

あなたは弱い人間ではありません

うつと共に生きるということは、家庭でも職場でも学校でも、常にうつと向き合うことを意味します。

あなたがうつ症状を抱えているのは、怠け者だからでも、弱い人間だからでもありません。脳内の変化があなたにそのような感情を引き起こしているのであり、あなたの仕事への姿勢とは関係ありません。

職場でうつ気分と向き合いながらも、一日を乗り切り、モチベーションを見つけることは可能です。集中力を高める運動、環境の変化、セルフケアなどを試したり、専門家に相談することで症状に対処することができます。

自分に優しく、小さな成功を祝いながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

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Apr 9, 2025

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