関係が終わった後の心の整理|前に進むための具体的ヒント
by
Takaya Yoshinaka
2025/06/07
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ファクトチェック済み
本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。
大切な関係が終わった後、なかなか気持ちが切り替えられず、前に進めないと感じることはありませんか。誰にでも起こりうるこの悩みについて、心理学の視点から整理し、自分らしい一歩を踏み出すためのヒントをお伝えします。
「関係性に区切りをつけられない」とはどんな状態か
関係が終わったはずなのに、心の中でその人のことが繰り返し思い浮かぶ。別れた理由や伝えられなかった気持ちが、頭の中で何度もよみがえってしまう。
こうした「区切りをつけられない」状態は、心理学では“未完了の課題”が心に残っている状態と説明されます。ツァイガルニク効果という理論によれば、人は完了できなかった出来事や伝えられなかった思いほど、記憶に強く残りやすく、無意識のうちにそのことを考え続けてしまう傾向があります。
未解決のまま終わった関係や、納得できない別れは、心の中で“終わっていない課題”として残り、気持ちの整理を難しくさせます。
周囲の言葉が重く感じる時はどうすれば?
「もう忘れた方がいい」「次に進んだ方がいい」といった周囲のアドバイスが、逆に心を苦しくさせることがあります。研究によると、外からのプレッシャーは心の整理を妨げる要因にもなります。自分の感情を否定せず、まずはありのまま受け止めることが大切です。
実践できる3つのヒント
感情を書き出してみる
静かな場所で、今の気持ちをノートに書き留めてみましょう。言葉にすることで、漠然とした不安や悲しみが整理されやすくなります。「寂しさ」の中にある細かな気持ちも見えやすくなり、自分自身をより理解できるようになります。
自分の学びを振り返る
この経験から得られたことや、自分自身に新しく気づいたことを考えてみましょう。失ったものだけでなく、得たものにも目を向けることで、前向きな視点が生まれやすくなります。
小さな行動から始める
無理のない範囲で、自分を大切にする時間をつくりましょう。信頼できる人に気持ちを話す、少し長めに散歩するなど、身近な行動から始めることで、少しずつ心の余裕が生まれます。
あなたのペースで進んでいい
未完了の課題が心に残ることで、不安やモヤモヤ、時にはストレスを感じることもあります。一方で、未完了のまま放置するよりも、少しずつ向き合って整理していく過程が、自己理解や新たな成長のきっかけになることも多いです。
心の整理は一直線に進むものではありません。良い日も、そうでない日も、すべてがあなたのプロセスの一部です。焦らず、自分のペースを大切にしながら、一歩ずつ進んでみてください。
Reference
Hendrickson NR, Zhao F, Long K. (2016). The relationship between emotional well-being and a lack of closure with ex-partners. Journal of Psychological Research, 22(1), 15-28.
Kansky J, Allen JP. (2017). Making sense and moving on: The potential for individuals and interpersonal growth following emerging adult breakups. Emerging Adulthood, 6(3), 138-151.