by
Inner Library Editorial Team
2025/05/04
手をつなぐことは自然にできても、セックスについて話すとなると急に恥ずかしさを覚える方は多いのではないでしょうか。この「恥ずかしさ」は、心の健康や人間関係にも影響を及ぼします。どう向き合えばよいのでしょうか。
手をつなぐことは自然にできても、セックスについて話すとなると急に恥ずかしさを覚える方は多いのではないでしょうか。この「恥ずかしさ」は、心の健康や人間関係にも影響を及ぼします。どう向き合えばよいのでしょうか。
セックスと恥の感情が結びつく背景
私たちの社会には、セックスや性的欲求に対してさまざまな考え方や期待があります。家庭や学校、メディアを通じて伝えられる価値観は、時に自分自身の自然な気持ちと食い違うことがあります。
たとえば、家族と性について話した経験がない場合、「性は話してはいけないこと」という暗黙のメッセージを受け取ることになります。また、学校での性教育が「危険」や「リスク」を強調する内容だった場合、セックスを前向きに捉えるのが難しくなることもあります。
性別によって異なる社会的期待
多くの文化では、セックスに関する期待が男女で異なります。
女性には「控えめであるべき」「純潔を守るべき」といった期待がかけられることが多く、自分の性的欲求を素直に表現しづらくなります。「良い女性」と思われたい気持ちが、欲求を抑える原因になることもあります。
一方、男性には「積極的であるべき」「経験豊富であるべき」といった期待があり、自分のペースで性と向き合いたい男性にとってはプレッシャーとなります。感情面を大切にしたい男性が、その気持ちを表現しにくい環境が生まれることもあります。
セックスに対する恥の感情がメンタルヘルスに与える影響
心と体は密接につながっています。セックスに関する恥の感情は、心の健康にさまざまな影響を与えます。
恥ずかしさを感じると、自分の欲求や感情を素直に表現しづらくなり、パートナーとの関係が悪化することもあります。また、恥の感情によって必要な医療やケアを避けてしまう場合もあります。性病検査や医師への相談に抵抗を感じる人も少なくありません。
ブレネー・ブラウンの恥の回復力理論
恥の研究者であるブレネー・ブラウンは、「恥の回復力理論」を提唱しています。
この理論では、恥を「自分は欠陥があり、受け入れられない、価値がないと感じる、苦痛で普遍的な経験」と定義しています。
ブラウンによれば、恥は社会的な期待に応えられないと感じたときに生じます。性に関する考えや行動は、特に恥が生じやすい分野です。
以下のような場面で、恥の感情が強まりやすいとされています。
自分の体や外見について
性的な欲求や好みについて
パートナーとの性的な関係について
過去の性的経験について
恥の感情に回復力を持つには、まずその感情を認識し、他者とつながり、恥の源となる考え方に疑問を持つことが大切だとブラウンは説明しています。
自分の性的欲求を受け入れる方法
セックスに関する恥の感情は多くの人に共通するものですが、その影響を減らし、より健康的に自分の性的欲求を受け入れる方法があります。
自分の思いを書き留める
自分の考えや感情を書き出すことで、整理し理解しやすくなります。日記をつけることは、恥の感情と向き合う安全な方法の一つです。
書くときは、判断せずに正直な気持ちを表現してみましょう。「なぜこの状況で恥ずかしさを感じたのか」「その感情はどこから来ているのか」を探ることで、感情の根源に気づくことができます。
自分自身を知る
自分の体を理解することは、性的欲求を受け入れる大切なステップです。
自分の体について学ぶことで、何が心地よく、何がそうでないかを知ることができます。これは自慰行為を通じてもできますし、鏡で自分の体を見ることから始めても構いません。
また、リラックスできる環境や状況、自分を安心させるものを理解することは、健康的な性関係の基盤となります。
オープンな対話を持つ
信頼できるパートナーや友人と、セックスや性的な気持ちについて率直に話すことは、恥の感情を減らす助けになります。
会話を始めるときは、お互いが安心して話せる雰囲気を作ることが大切です。パートナーとは「私の好きなこと、あなたの好きなことについて話してみませんか?」といった肯定的な方向から始めるとよいでしょう。
こうした対話は、自分だけが悩んでいるわけではないことを知る機会にもなります。共感を通じて、「自分だけではない」という安心感を得られます。
専門家のサポートを得る
セックスに関する恥の感情が日常生活や人間関係に大きな影響を与えている場合は、専門家のサポートを求めることも選択肢の一つです。
性の問題を専門とするカウンセラーは、こうした悩みに対応する知識を持っています。判断せずに話を聞き、恥の感情を克服するための具体的な方法を提案してくれます。
「普通」という概念から自由になるために
セックスに関する恥の感情を減らすうえで大切なのは、「普通」や「あるべき姿」という概念から自由になることかもしれません。私たちは一人ひとり異なる存在です。性的な好みや欲求、表現方法も多様です。「普通」を追い求めるのではなく、自分にとって心地よく、健康的で、お互いの同意に基づいた性生活を探すことが大切です。
日常の小さな実践として、自分の体や性的な気持ちについて肯定的な言葉を使ってみましょう。社会が描く「理想的な」セックスや体の姿に疑問を持つことも重要です。完璧を目指す必要はありません。自分自身と性に対する考え方は、一生続くプロセスです。少しずつ、自分のペースで進んでいきましょう。
Reference
Brown, B. (2006). Shame resilience theory: A grounded theory study on women and shame. Families in Society, 87(1), 43-52.




