Self-Discovery

なぜ私たちは「自分を責めてしまう」のか?自責思考のための5つの対処法

自分を責めてしまう習慣は、誰にでも起こりうる自然な反応です。この記事では、心理学の研究をもとに、自責思考が生まれる理由と、自分を過度に責めることなく前に進むためのヒントをお伝えします。

by

Takaya Yoshinaka

2025/02/20

ファクトチェック済み

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本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

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今日からできる、自分への優しい向き合い方

誰にでも、何かうまくいかないことがあった時に「全部自分のせいだ」と考えてしまうことがあります。特に、いつも周りへの配慮を忘れない人、完璧を目指して努力する人ほど、自分を責めてしまう傾向が強いのかもしれません。

しかし、こうした自責思考は決して特別なものではありません。むしろ、より良い自分でありたいと願う気持ちの現れかもしれないのです。この記事では、私たちがなぜ自分を責めてしまうのか、そしてどのように向き合っていけば良いのかを、心理学の研究をもとに考えていきましょう。

なぜ私たちは自分を責めてしまうのか

私たちの多くは、何か困難な状況に直面した時、まず「なぜ自分がこうなったのか」という原因を探ろうとします。心理学の研究によれば、これは人間の自然な心の働きの一つだといいます。しかし、時としてその原因の探求が、過度な自責へとつながってしまうことがあります。

特に、感情をうまくコントロールできないと感じる時、私たちは自分を責めることで、その複雑な感情に対処しようとすることがあります。2021年の研究では、自分を責めてしまうことと自己否定的な行動には深い関連があることが示されています。

自責思考の現れ方を知りましょう

自分を責める気持ちは、私たちの心と行動の両面に影響を与えます。時には気づかないうちに習慣化していることもあり、その現れ方は一人ひとり異なります。しかし、研究からは、自責思考にはいくつかの共通したパターンがあることがわかっています。

自責思考は、私たちの心と行動に様々な形で現れます。

【感情面での現れ方】

  • 「私が悪い」と繰り返し考えてしまう

  • 自分の気持ちを否定する

  • 完璧でない自分を許せない

【行動面での現れ方】

  • 必要以上に仕事を抱え込む

  • 休息や楽しみを自分に許さない

  • 他者からの援助を受け入れない

これらの反応は、時に「真面目」「努力家」として周囲から評価されることもあります。しかし、その背景には自分への懲罰的な気持ちが隠れていることがあります。たとえば、休日に趣味の時間を持つことに罪悪感を感じたり、誰かの手助けを受けることを自分の失格と捉えたりします。これらは長期的には心身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

自責思考への5つの向き合い方

1. 自分の感情に気づくこと

まずは、自分を責めたくなる気持ちに気づくことから始めましょう。それは成長したいという健康な願いの表れかもしれません。自分の感情に気づき、それを否定せずに観察することで、新しい気づきが生まれることがあります。

2. 専門家のサポートを得る

深く根付いた自己否定的な信念がある場合、心理の専門家に相談することで、新しい視点を得られることがあります。否定的な自己イメージは、多くの場合、幼少期からの経験の積み重ねによって形作られています。専門家との対話を通じて、より健康的な自己イメージを築いていくことができます。

3. 感情との付き合い方を見つける

感情は自分で完全にコントロールできるものではありません。むしろ、呼吸に意識を向けたり、体の感覚に注目したり、自分の思考を観察したりすることで、少しずつ感情との付き合い方を学んでいけるのかもしれません。

4. 信頼できる人と話す

困難を感じる時、誰かに話を聞いてもらうことで、新しい視点や気づきが得られることがあります。完璧である必要はありません。あなたの気持ちを理解してくれる人と、少しずつ対話を重ねていくことから始めてみましょう。

5. 自分への思いやりを育む

自分を責めることは、時として自分を正そうとする試みかもしれません。しかし、実際に必要なのは、自分への思いやりかもしれません。失敗や挫折を、人生の自然な一部として受け入れていく姿勢を、少しずつ育んでいきませんか。

おわりに

自分を責めてしまう気持ちは、誰にでも経験することです。大切なのは、その感情に気づき、より健康的な向き合い方を少しずつ見つけていくこと。すぐに変化を求める必要はありません。あなたのペースで、自分らしい方法を見つけていってください。

References

References

  • Laporte, N., et al. (2021). Emotion regulation and self-harm among forensic psychiatric patients. Frontiers in Psychology, 12, 710751. Stanicke, L.I. (2021).

  • The punished self, the unknown self, and the harmed self – toward a more nuanced understanding of self-harm among adolescent girls. Frontiers in Psychology, 12, 543303.

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