Sex & Love

セックスレスって本当に問題? パートナーとの関係性を考える

セックスレスは本当に問題なのでしょうか。この記事では、心理学の研究をもとに、パートナーとの性的な親密さについて、それぞれのカップルに合った答えを見つけるヒントをお伝えします。

by

Takaya Yoshinaka

2024/12/03

ファクトチェック済み

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本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

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答えは人それぞれ。大切なのはあなたらしい関係性を見つけること

「このままでいいのだろうか」「パートナーは不満を感じているのではないか」。セックスレスについて悩みを抱えるとき、私たちはしばしばこうした不安な気持ちに囚われがちです。特に、周囲の「普通」や「あるべき姿」という固定観念に影響されると、その気持ちはより強くなるかもしれません。

しかし、親密な関係性のかたちは、カップルの数だけ存在します。大切なのは、誰かの基準に合わせることではなく、お二人にとってのちょうどよい距離を見つけていくことかもしれません。

セックスレスは必ずしも「問題」ではない

多くの人が、セックスレスを「解決すべき問題」として捉えがちです。しかし、心理学の研究は、必ずしもそうではないことを示しています。

性的な親密さを必要としない人や、それほど重要視しない人も確かに存在します。たとえば、アセクシャル(無性愛者)の研究からは、性的な欲求をほとんど、あるいはまったく感じない人が一定数いることがわかっています。また、さまざまな理由で性的な関係を持たないことを選択する人もいます。

大切なのは、これらが「異常」なことではなく、人間の性的指向や欲求の自然な多様性の一部だということです。セックスの頻度の高低そのものが、必ずしも関係性の質を決めるわけではないのです。

セックスがもたらす影響について

一方で、定期的な性的活動が心身にポジティブな影響をもたらすことも、研究によって明らかになっています。

研究では、以下のような効果が報告されています。

  • ストレス解消とリラックス効果

  • 免疫機能の向上

  • 心血管系の健康維持

  • 親密な関係性の強化

ある研究では、定期的な性的活動が幸福感を高め、それがさらに親密な関係性を促進するという好循環を生み出すことが示されています。

ただし、これは「セックスが必須である」ということを意味しているわけではありません。これらの効果の多くは、スキンシップや運動など、他の活動によっても得られるものだからです。

性的欲求の違いについて理解する

性的欲求の強さは、人によって大きく異なることがあります。また、以下のような要因によって、同じ人でも変化することが自然にあります。

  • ストレスやライフスタイルの変化

  • ホルモンバランスの変動

  • 年齢による自然な変化

  • 服用している薬の影響

  • 健康状態の変化

このような変化は誰にでも起こりうる自然なものです。特に長期的な関係性の中では、お互いの性的欲求が完全に一致し続けることの方が珍しいかもしれません。

むしろ大切なのは、そうした変化や違いにどのように向き合っていくかということです。お互いの状態や気持ちを理解し合い、二人にとってのバランスを探っていく過程そのものが、関係性を深めるきっかけとなることもあります。

親密さを育む他の方法

セックス以外にも、親密さを感じる方法はたくさんあります。以下のような方法を、お二人の関係性に取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 静かな時間の共有(一緒に読書をする、音楽を聴く)

  • 身体的な親密さ(手をつなぐ、ハグする、マッサージをする)

  • 感情的なつながり(日々の出来事や感情を分かち合う、将来の夢を語り合う)

  • 一緒の活動(料理を作る、散歩に行く、新しい趣味に挑戦する)

たとえば、忙しい一日の終わりに、ゆっくりとソファに座って音楽を聴きながら一日の出来事を話し合う時間を作ってみましょう。そこで交わされる何気ない会話や、共に過ごす穏やかな時間が、深い絆を育んでいくことがあります。

また、休日の朝に二人で近所を散歩することから始めてみるのも良いかもしれません。肩を寄せ合いながら歩く時間は、自然な形で身体的な親密さを感じられる機会となります。新しい発見を共有したり、なんとなく手をつないだり、そんな何気ないスキンシップも、大切な親密さの表現となるのです。

これからの関係性のために

お二人の関係性について考えるとき、最も重要なのは、お互いの気持ちについて率直に話し合うことです。たとえば、次のような言葉から会話を始めてみましょう。

  • 「最近、私たちの関係について考えることが多くて...」

  • 「あなたの気持ちや考えていることを、もっと知りたいな」

  • 「二人にとって心地よい関係って、どんなものだと思う?」

このような会話は、決してプレッシャーではなく、お互いをより理解し合うための機会として捉えることが大切です。相手の言葉にゆっくりと耳を傾け、時には沈黙を共有しながら、お二人の気持ちを探っていけばいいのです。

パートナーシップにおける親密さの形は、時間とともに変化していくことがあります。それは自然なことであり、必ずしもネガティブな変化ではありません。完璧な関係性を目指すのではなく、その時々の気持ちに正直になりながら、二人にとってのちょうどよい距離感を、少しずつ探っていければいいのだと思います。

References

References

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