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「体の関係」と「心の絆」の違いとは?|親密な関係を築くために知っておくべきこと

体の関係はあっても心の距離を感じる。そんな悩みを抱える人は少なくありません。この記事では、心理学の研究をもとに、より本質的な関係性について考えるヒントをお伝えします。

by

Takaya Yoshinaka

2025/02/12

ファクトチェック済み

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本記事は査読付き学術論文および実証研究に基づいています。

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本当の親密さとは何か、心理学の研究が教えてくれること

誰にでも、人との関係に悩む時があります。「最近、気持ちが通じ合えていない」「体の関係はあるのに、どこか距離を感じる」「このままの関係でいいのだろうか」。そんな思いを抱えながら、どう向き合えばいいのか分からない。そんな経験をしたことはないでしょうか。

実は、このような悩みの根底には、私たちの「親密さ」についての理解が深く関わっています。親密さは時に単純なものと思われがちですが、実際にはより複雑で深い意味を持っています。心理学の研究は、人との親密な関係が、いくつかの異なる形で表現されることを教えてくれているのです。

私たちが「親密さ」について誤解していること

恋愛や性的な関係について語るとき、私たちは「親密な関係」という言葉をよく使います。しかし、この「親密さ」という言葉の意味するところは、実は私たちが思っているよりもずっと深いものかもしれません。

心理学の研究によれば、真の親密さとは、単なる身体的な近さを超えた、感情的なつながりと信頼関係を指します。それは、お互いの心を開き、弱さをさらけ出せる関係性のことなのです。特に、親密さは主に3つの形で現れます。

感情的な親密さ

言葉にできない気持ちも分かち合える深い信頼関係です。お互いの価値観や考え方を理解し、受け入れ合える関係性を指します。日々の何気ない会話や、感情的な支え合いの中で育まれていきます。

身体的な親密さ

手をつなぐ、抱きしめる、など、必ずしも性的ではない触れ合いを通じた親密さです。このような触れ合いは、安心感や信頼感を育む大切な要素となります。

性的な親密さ

身体的な関係性の中に、感情的なつながりが加わった状態を指します。これは単なる性的な行為とは異なり、より深い信頼関係と結びついています。

なぜ「体の関係」だけでは足りないのか

時として、体の関係だけに陥ってしまうことがあります。そういった状況では、時として「空虚感」や「物足りなさ」を感じることがあります。相手の気持ちや考えを理解し合おうとする機会が減り、次第に心の距離が広がっていくことも。これは、決して特別なことではないのかもしれません。

この状態が続くと、私たちの心により深い影響を及ぼすことがあります。相手のことを、ただ体の関係を持つ対象としてしか見られなくなってしまったり、自分の気持ちに蓋をして「これでいいんだ」と無理に納得しようとしたり。そうして少しずつ、自分を大切にする気持ちまでもが薄れていってしまうことがあるのです。

自分の気持ちに向き合うために

より良い関係を築くために、まずは自分自身の気持ちに耳を傾けてみましょう。以下のような視点が、新しい気づきをもたらしてくれるかもしれません。

関係性の本質を見つめ直す

「体の関係があるから大丈夫」「この関係で満足すべき」という思い込みから一度離れてみましょう。今の関係性の中で、あなたが本当に求めているものは何でしょうか。

自分の気持ちを大切にする

どんな関係性であっても、あなたの気持ちは大切です。感じている不安や迷い、望みは、新しい気づきをもたらすヒントかもしれません。

小さな変化から始める

大きな変化を一度に求める必要はありません。例えば、

  • 自分の気持ちを少しずつ言葉にしてみる

  • 相手の言葉により意識的に耳を傾けてみる

  • 関係性について、率直に話し合える機会を作ってみる

こうした小さな実践の積み重ねが、より深い関係性への第一歩となります。

心の健康との関わり

親密な関係性は、私たちの心の健康に大きな影響を与えます。2021年の研究によれば、信頼できる相手との深い絆は、不安やストレスの軽減に重要な役割を果たすことが示されています。

これは、単なる体の関係ではなく、感情的なつながりを含む総合的な親密さが、私たちの心の健康を支えているということです。

より本質的な関係性に向けて

完璧な関係性など存在しないかもしれません。また、関係性の形は人それぞれ異なり、唯一の「正解」があるわけではありません。

大切なのは、自分の気持ちに正直に向き合い、より本質的な関係性を探っていこうとする姿勢そのもの。その過程で生まれる様々な感情や気づきを、大切な道しるべとして受け止めていくことができればと思います。

References

References

  • van Lankveld, J., et al. (2018). The association of intimacy and sexuality in daily life. Journal of Social and Personal Relationships, 35(4), 557-576.

  • Mollaioli D, et al. (2021). Benefits of sexual activity on psychological, relational, and sexual health during the COVID-19 breakout. The Journal of Sexual Medicine, 18(1), 35-49.

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